子どもがこれからの時代を生き抜くために、親は何ができるのか。リクルート スタディサプリ教育AI研究所所長の小宮山利恵子さんは「変化が多く先行きが不透明な時代においては、正解がなければ自分で答えを見つけて新たな価値を生み出す『ゼロイチ力』が必要になる」という――。

※本稿は、小宮山利恵子『好奇心でゼロからイチを生み出す 「なぜ? どうして?」の伸ばし方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

道を駆け出すランドセルを背負った小学生
写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA
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日常生活の「?」が気づく力を育む

ゼロイチの土台になるのは、次の5つの力です。

気づく力 身の周りのことに関心を持ち、新しい視点で見る力
対話する力 人と話してアイデアや意見を出し合う共創の力
探究する力 好奇心を持って知識を深めていく力
行動する力 考えたことを実践して成果を出す力
失敗する力 挫折やミスを成長の糧に変える力

本稿では、そのうち「気づく力」について紹介します。

気づく力とは、日常生活の中で「なぜ?」「どうして?」と問いを立て、それまで気がつかなかった物事を新しい視点でとらえる力です。

問いの重要性について『「問う力」を育てる理論と実践』(小山義徳、道田泰司編/ひつじ書房)では次の意義が述べられています。

問題解決や探究活動の出発点となり、主体的な学びを促進する重要な要素としての問い。そして、自ら問いを立てる能力を持つことで、自律的に生涯に渡って学び続ける姿勢を育む意義。

このような問う力を伸ばすために意識したい6つのポイントをお伝えします。

分からないことを聞くのは子どもの特権

①「なぜ?」と問う

「あのときの疑問がようやくわかった!」と思うこと、大人でもありますよね。生まれてまだ10年前後しか経っていない子どもたちは、知らないことやわからないことだらけ。成長とともに知識や経験が増えるほど「わかった!」も増えていきます。

大人になると「こんなこと今さら聞けない」と思ってしまうような些細なことでも、「なぜ?」「どうして?」と気になったことを素直に周りに聞けるのも、子どもに与えられた特権です。

仕事で鎌倉に行ったときのこと。仕事の合間にふらっと入った無印良品で、近くにいた親子の会話が聞こえてきました。小学1年生くらいの女の子が、「なんでティッシュペーパーが茶色なの? 家で使っているのは白いよね?」と質問したのですが、そのお母さんは「なんでだろうね」と言っただけで終わってしまいました。