米テキサスではファストフードのドローン配送が人気
徳重によれば、ドローンを活用できる領域はこれからますます拡大していくという。機を見るに敏な彼がいま注目しているのが、ドローン物流だ。
【徳重徹】
宅配便の配達やフードデリバリーがドローンでできるようになる。日本国内だけを見ていると、そんなのはまだ遠い先の話に思えるかもしれません。そんなことはないのです。
すでに世界はその方向に動いています。それもものすごいスピードで。
アメリカのテキサスでは、すでにファストフードのドローン配送が日常的に行われています。アメリカは土地が広いので、郊外の家でピザやハンバーガーのデリバリーを頼むと、届くまで40分も50分もかかる。どこがファストフードなんだといいたくなります。そうしたら配達をドローンで行う業者が現れたのです。
荷物の重さ、飛行距離、法律。ドローンの商業運用の妨げになるのは、だいたいこの3つです。ファストフードなら軽いし、何百kmも遠くの店には注文しないから距離も問題ありません。法律に関してはおそらく実証を兼ねて安全に配慮するということで認可が下りたのでしょう。
そうしたら、たちまち大人気です。渋滞も関係なく最短距離を飛んでくるので早く届くし、ドローンは車やバイクのようにCO2も出さないから地球にも優しい。
これを見て、いまでは同様のサービスをする業者が雪崩を打ったように参入してきています。
中国の深圳でも同じような光景を目にしました。郊外ではありません。高層ビルが立ち並ぶ都心の真ん中にある商業施設です。上階のオフィスからスマートフォンで1、2階に入っているレストランに注文します。すると、数分後にはドローンが屋上やベランダにある専用ボックスまで料理を届けてくれるのです。
日本だと墜落したら危ないとか、法律をどうするとかで、現状を変えるまで時間がかなりかかりますが、どこの国もそうではありません。むしろテキサスや深圳のスピード感のほうが世界標準なのです。
日本では小口配送のラストワンマイルが社会問題になっています。ドローンを配送に利用するのが可能になれば、一気に解決するじゃないですか。
ドローン物流に関しては、私たちは技術的な課題はほぼクリアしています。あとは不必要な規制と旧態依然とした社会常識に風穴を開ければ、この分野でもビッグビジネスを成し遂げられると思っています。