相手の何気ない一言にモヤモヤするとき、どうすれば忘れられるのか。脳神経外科医の菅原道仁さんは「相手の存在に対し、感情や記憶を処理する脳の偏桃体が過剰反応しているためだ。10項目のうち5つ当てはまったら、『脳から消す技術』を試してみてほしい」という――。

※本稿は、菅原道仁『あの人を、脳から消す技術』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

ラップトップを使う女性
写真=iStock.com/kyonntra
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決まって月末に襲ってくる“謎の頭痛”の正体

家庭の中にモヤモヤの原因が潜んでいるケースもあります。

佐藤さん(43歳・女性・専業主婦)は、毎月決まって体調を崩していました。

「月の終わりになると、ズキンズキンと締めつけられるような頭痛がするんです。市販の頭痛薬を飲んでも、あまり効果がない。主人は『ストレス解消に趣味でも見つけたら?』と言うんですが……。それどころか状態はどんどん悪化してきていて、月末が近づくと、夜中に目が覚めてなかなか寝つけなくなることも増えてきました」

佐藤さんには、小学4年生の娘と2年生の息子がいます。子育ての傍ら、PTAの役員も引き受け、充実した毎日を送っているように見えました。

「友達からは『佐藤さんって、いつも完璧よね』って言われるんですが、実際は完璧とはほど遠くて。ここ1年くらい、なんだかずっと疲れているし、家事をしている最中もボーッとしてしまって……」

佐藤さんが体調の記録をつけ始めたのは、娘の塾の送り迎えの際、他のお母さんに勧められたからでした。スマートフォンのカレンダーに、その日の体調と出来事を簡単にメモするようにしました。

たったそれだけのことでしたが、それを始めてからあることに気がつきました。

彼女が記録を見返してみると、頭痛が起きるのは決まって、毎月第4土曜日の前後でした。そして、その日は、

「義母が泊まりに来る日だったんです」

夜中までおせちを作り、翌朝に床を磨くような人

佐藤さんの義母・美智子さん(68歳)は、30年以上にわたって地元で料理教室を主宰してきた人物です。几帳面な性格で、包丁さばきから掃除の手順まで、すべてが完璧。結婚当初から、佐藤さんは義母の手際の良さに憧れを抱いていました。

「お義母さんの作るおせち料理は、まるで広告写真のよう。大晦日の夜中まで煮物の味を調えて、それでも朝一番に床を磨いているような人です。私なんて、おせちはデパ地下に頼ってしまうのに……」

佐藤さんは、結婚前は保育士をしていました。子どもたちと遊ぶのが得意で、今でも息子の同級生たちに「おはなし会」を開いているほど。

でも、家事については、いつも自信が持てません。

「お味噌汁は毎日作らないの?」
「子どもの勉強机、もっと整理したほうがいいわよ」
「冷蔵庫の中が荒れてるわね。賞味期限は週一でチェックしないと」

義母の言葉の一つひとつは正しいものの、それを言われるたびに佐藤さんは憂鬱な気持ちになりました。

義母の美智子さんは、息子夫婦を想う気持ちから、毎月の訪問を欠かしません。泊まりがけで来ては、冷凍食品を手作りに置き換えたり、キッチンの収納を整理したり。

息子想いで面倒見の良い性格は、近所でも評判です。