やりやすいものから手を付ける

【澤円】ただ、ここがまた難しいところですが、たとえアクションプランを決めても、「なかなか行動できない」という人もいます。即断即決でネクストアクションを実行していくには、どうすればいいでしょうか。

【中野優作】とにかく、「やりやすいものからやる」ということに尽きると思います。挫折から立ち直るためのアクションを考えたところで、それが経済的事情などにより現実問題として実行不可能なものであれば意味はありません。

でも、「やれるもの」であれば文字通り実行可能ですし、さらに「やりやすいもの」であるほど即座に行動に移しやすくなるはずです。

中野優作さんと澤円さん
写真=石塚雅人

「撤退条件」を決めておく

【澤円】そうしたアクションを起こしたあと、それを「やめる」ことも考えるものですか? もしあるのなら、なんらかの条件を設定しているのでしょうか。

【中野優作】若い頃は、それこそ「やりやすいものはなんでもやる」と思いついたことを片っ端から実行するという姿勢でしたが、いまはだいぶ大人になりました(笑)。特に会社の戦略については社員の人生も左右することになりますので、「撤退条件」を決めています。

新規事業をはじめる、新しいマーケティング手法を試すなど、そこにある打ち手というか、手持ちのカードをまずは並べます。それらのうち、やりやすいものからやるという考え自体は変わりませんが、それぞれについて「こういう状況になったらやめる」というように、予算や期間といった数字などで撤退条件を決めたうえで実行するのです。

すると、「失敗」だとか「挫折」といった感覚そのものがなくなります。仮に撤退することになったとしても、その打ち手を実行した結果として、実行しなければ絶対に得られなかった知見を手にすることができるからです。それは、挫折どころか、次なる成長のための貴重な発見に他なりません。

(初公開日:2025年4月9日)

(構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム) 文=清家茂樹)
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