ライブ配信を行い、視聴者からの投げ銭で収入を得る「ライバー」という働き方がある。2019年にライブ配信を始めた女優の桜川シュウさんは、「逆張り戦略」で70万人の視聴者を集めるトップライバーになり、現在はライバー事務所の代表を務めている。一体どんな戦略だったのか――。

※本稿は、桜川シュウ『最強の副業 ライバー社長が教える、ゼロから月100万円を稼ぐライブ配信術』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

瓶にコインを入れている手元コインを、右側に行くにつれてコインがたまり、植物が成長している
写真=iStock.com/baona
※写真はイメージです

人と人が画面越しでつながる世界

あのとき、なぜか胸騒ぎがしました。

世界がまだコロナという言葉すら知らなかった頃、中国で「原因不明のウイルスが広がっている」というニュースが流れました。チャンネルを替えると、同じ中国の旧正月に合わせて大量の観光客が日本を訪れるというニュースが映し出されていました。

それを見た瞬間、私は直感しました。「これは、大変なことになるかもしれない」と。

ちょうどその頃、ライブ配信の仕事のお誘いをいただいていたのですが、正直、当時はライブ配信にそれほど魅力を感じていませんでした。でももし、この未知のウイルスが世界中に広がったら……真っ先に打撃を受けるのは、舞台・映画・イベントなど、リアルに人が集まるエンタメの現場なのでは?

その一方で、画面越しでつながる“ライブ配信”の世界は、むしろ伸びていくかもしれない。そう考えた私は、直感に従ってライブ配信の世界に足を踏み入れる決意をしました。

そしてそれは、まさに運命のようなタイミングでした。

才能がない人はうまくいかない?

ライブ配信を始めたのは2019年12月。まさにその同じ月、コロナウイルスは猛スピードで世界に広がり始めたのです。春には緊急事態宣言が発令され、出演予定だった舞台も、撮影予定だったドラマもすべて白紙。エンタメの現場が次々と止まっていく中で、私はまったく別のフィールドで、一歩を踏み出していました。

ただ、ライブ配信の世界に入ったとはいえ、私にはずっと根深いコンプレックスがありました。芸能界やクリエイターの世界には、才能にあふれた方がたくさんいます。「また、才能がないと批判されるのではないか」と、内心では怖がっていたのです。

トップライブクリエイターたちは、発想力も見せ方もまったく違う。天性のエンターテイナーとして、人を惹きつける空気をまとっている。私はそれとはまったく違うタイプです。だからこそ、生配信という“即興勝負の世界”では、分析や努力なんて通用しないんじゃないか……そんな不安を感じていたのです。

それでも私は、自分が最も得意とする“リサーチ”から始めることにしました。