関氏は現在、ホンハイでEV戦略の指揮を執っている。同メディアは新CEOの発表前、関氏が日産の新CEOに迎えられる可能性についても言及していた。もしこれが実現すれば、ホンハイと日産の関係が一層深まるとの見方であった。両社の技術協力を進める上で、関氏が重要な役割を果たし得た可能性がうかがえる。
記事はオートモーティブ・ニュースの報道を引き、日産の取締役会が一時期、関氏を次期CEOに据え、財政再建やホンダとの合併交渉再開を任せる方向で検討していたと伝えている。最終的にはチーフ・プランニング・オフィサーのイバン・エスピノーサ氏が新CEOに選ばれる結果となった。
日台の技術協力は双方に利点がある
EVではソフトウェアによる差別化が重要であり、電子機器メーカーのホンハイにとっては比較的参入しやすい環境が整っている。従来の機械的なハードウェアが中心だった自動車産業は、ソフトウェアで差別化する時代となり、EVでもこの傾向は顕著だ。
しかし、フォーチュン誌が指摘するように、Appleが自社開発の自動車プロジェクト「プロジェクト・タイタン」が頓挫したなど、未経験企業によるEV開発にはなお困難が残る。シャオミがスポーティーEVセダンのSU7の開発を成功させたなど実例がある一方で、製品化に至らないプロジェクトも少なくない。
EV事業を堅実に育てたいホンハイにとって、日産を含めた日本企業の車両開発ノウハウはぜひとも手に入れたいところだ。リウ会長は「ホンハイは、これは合併ではなくパートナーシップだと考えている」との立場を明確化しており、子会社化を受け入れがたい日産には好機だろう。
EVといえばBYD社など中国勢の攻勢が強まっている。日台企業の連携は、両国の企業に活路を開く可能性を秘めている。