“スマホを使わない時間”を設けてみる
その上で、受験勉強に集中してもらうために、以下の5つのポイントを実践するよう伝えています。もちろん、最初から無理に全部やる必要はありません。まずは1つだけでも、十分です。
① 家に帰ったら親に預ける(または、リビングに置くことにする)
② 1週間に○回しか充電しないと決めて、使う頻度を減らす
③ 時間管理のアプリを使って、使用状況を見える化する
④ ゲームのアプリは1つしかダウンロードしないなどルールを決める
⑤ 家族でスマホを使わないデジタルデトックスの時間を設ける
特に⑤のように、家族全員でスマホの見直しをする機会をつくることは重要です。上記5つのポイントは、いずれも子どもにスマホそのものへの注意を向けない空間を作ることが目的です。そのため親自身の協力が必須です。これらを実践したことで子どもが勉強に集中するようになり、その後の受験本番で成功したという嬉しい報告を複数お受けしていますので、悩んでいる親御さんはぜひご自身のスマホの使い方も見直してみてください。
よく聞く例ですが、頭ごなしに「スマホをいつまで見てんの?」「言うこと聞かないんだったら契約をやめるからね!」と伝えても、子どもにとっては納得感がありませんし、反発につながるだけです。まずは棚卸しをしてどれだけスマホを使っているのかを共有し、「一緒に良い使い方を考えてみよう」「もしうまくいかなかったら、途中で方法を考えてみよう」などと相談する姿勢を心がけると良いでしょう。もしお子さんがスマホでトラブルが起きても、親に相談してくれるような関係も構築できると思います。
“能動的な姿勢”が大事
また、これまでの子どもたちの傾向を見ていると、進学や進級のタイミングで、子どもたちが新たにスマホを手にするようになるようです。ルールの作成や見直しをする時期としては、まさに今が最適かと思います。
さて、ここからはスマホの効果的な活用法について、私が見聞きした成功事例をご紹介します。共通点はいずれも「スマホに支配されていない」という能動的な姿勢でした。
【高校1年生のEさん】
Eさんは、バレーボール部で忙しい毎日を過ごしているために、なかなか勉強時間が取れないと悩んでいました。話を聞いてみると、スマホを有効活用して効率よく学習を進めていたようです。
Eさんは、数学が苦手科目だったため、スタディサプリやYouTubeの解説動画を理解できるまで繰り返し見ていたそうです。親からは「わからなかったら先生に質問してきなさい」とよく言われていたそうですが、根は引っ込み思案の性格だそうで、なかなか質問できていない状況でした。このようなお子さんは案外多いです。「何が分からないかさえ分からないんだから、質問なんてできるわけないじゃん!」ともよく愚痴っていました。