Twitter社を消したイーロン・マスク
トランプの政権人事を見ると、その本質が浮き彫りになります。トランプ政権を象徴する人物と言えば、政府効率化省(DOGE)を取り仕切るイーロン・マスク氏と、副大統領のJ・D・バンス氏です。
マスク氏は電気自動車メーカーのテスラやロケット開発企業スペースXのCEO(最高経営責任者)です。2021年に、連邦議会議事堂襲撃をあおったトランプのアカウントを凍結したTwitter社を買収しXに改称、トランプのアカウントの凍結を解除しました。
買収時、Twitter社には8000人の従業員がいましたが彼らのうち6000人近くを解雇。残った2000人も、その中にいたマスク氏に批判的な社員をリストアップし、全員クビにしています。自身に絶対的な忠誠を誓わない社員は容赦なくクビにするというのがマスク氏のやり方です。
晴れ舞台で「ナチス式敬礼」?
マスク氏がトランプ政権の一員となったことで、テスラの株が急落し、一時は4割ほども株価が下がったといわれています。それを見たトランプは、テスラを支援するため「新しいテスラ車を1台購入する」と表明するパフォーマンスを見せました。アメリカ国内やヨーロッパで広がる不買運動については、「極左の狂信者が違法にテスラをボイコットしている」と非難しています。
大統領就任行事で、マスク氏はナチス式敬礼とも見られるポーズをして物議をかもしました。マスク氏本人はこのジェスチャーに関する批判を一蹴し、意図的なナチス式敬礼ではないと強く否定しています。欧米社会においては、ナチスやファシズムと関連付けられる行動は重大な社会的反発を招き、政権の正当性や信頼性を損なう恐れがあります。
マスク氏は、期限付きの政府効率化省の特別政府職員としての任期を終え、実業界に復帰しました。政権を離れた後も、トランプとの強い結びつきは維持されるでしょう。おそらく「非公式アドバイザー」のような立場で影響力を保ち続けると考えられます。