2025年5月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお送りします。政治・経済部門の第2位は――。
▼第1位 JA農協は小泉進次郎を鼻で笑っている…「備蓄米5kg2000円を目指す」コメ担当大臣でも値段は下げられないワケ
▼第2位 残念ながら来年秋まで「5kg4200円」が続きます…農水省とJA農協がいる限り「コメの値段は下がらない」そのワケ
▼第3位 あれだけ"自分勝手なルール"を世界中に押し付けたのに…EUに「トランプ関税」を批判する資格はあるのか"
▼第4位 まずは日本の給食を何とかしてよ」の声が続出…石破首相が言い出したインドネシアへの"給食支援"の内実
▼第5位 習近平は「アメリカの急所」を突いた…トランプ政権が中国との"関税戦争"にあっさり敗北した理由
備蓄米放出後も上がり続けるコメ価格
最近になって、またマスコミからコメの値段はどうなるのかという質問を受ける。備蓄米放出後もコメの値段が上昇しているからだ。
状況を説明しても、十分に理解しないで、ともかく「下がるのですか下がらないのですか」という質問を繰り返し受ける。結論だけを報道したいようだ。また、根拠も示さないで下がるとか下がらない等の結論しか言わない“専門家”が多いからかもしれない。不思議なのだが、私がコメ流通の専門家だと思う人はテレビに出てこない。
これまでもコメの値段について書いてきたが、私が指摘してきた備蓄米放出方法の問題点が政府や与党の幹部たちの間で共有されるようになったり、JA農協が今秋に農家に支払う仮渡金の水準が明らかになったりするなど、新しい状況も出てきた。ここでは、状況の変化を整理したうえで、根拠を示してコメの値段を予測するとともに、必要な政策を示すこととしたい。
まずは、昨夏以来の事態の推移を整理しよう。
昨年夏スーパーの棚からコメが消え、その後その値段は2倍に高騰した。JA農協や大手卸売業者の民間在庫は昨年の5月頃から今年の2月現在まで前年同月比で約40万トン減少している。
3年前から農水省とJA農協は減反を強化して米価を上げようとしていた。23年産米は作付け前から減反で対前年比10万トン減少していた。さらに、猛暑の影響を受け白濁米などの被害が生じ、合わせて40万トン程度不足した。このため、昨年の8月から9月にかけて、本来昨年の10月から今年の9月にかけて消費される24年産米を先食いしたので、昨年10月の期首の時点で40万トン不足し、これが今も続いている。